職人体験記

工房訪問!『木工yamagen』西山さんにインタビュー!

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「木工yamagen」工房訪問記

今回は木工yamagenを訪問し、西山さんにいろいろと聞いてきました。木工yamagenならではの雰囲気をご確認下さい!

工房はいつから始められたのでしょうか?

工房のスタートは2012年ですね。
初めは職業訓練校の木工科で1年間勉強して、特別オーダーの家具屋さんで7年ほど働き、それから独立しました。


 

奥さまも最初からご一緒に働かれているのですか?

学校は違いますが、通っていた時期はほとんど同じでした。その後、働いた家具屋で出会って、数年後一緒に独立しました。
 

そうなんですね。今もおふたりでオーダー家具を作っていらっしゃるのですか?

一緒に木工作業もしますが、図面を書いたり、webサイトの作成やオンラインショップの担当をしたりしています。今は小さい子どもがいるのでどうしても働ける時間は限られています。


 

商品を作る上でのこだわりや想いを教えていただけますか?

根底にあるのは「自分が格好いいと思えるかどうか」です。
それは一番大事にしています。
オーダーの仕事が多いので、お客さまの好みに合わせる必要はありますが、それを踏まえてより良い提案ができればと思っています。
近頃は「すべておまかせ」というお客さまも増えて、嬉しいですね。

 

作品を見せいただいて、とても綺麗な作品だと感動しました。
自分が「格好いいものだ」と思える軸とはどういうものでしょうか?

「軸」という一本に絞るのは難しいですね。
自分自身もいろいろなテイストのものに惹かれますし。
ただ、自分がいいと思う要素は作った家具に自然と入っていると思うので、それを見た人が「あの家具yamagenのだよね」と感じてもらえるようなものを目指しています。

 

なかでもこだわりのある作品をご紹介していただけますか?

まずはこのスツールです。『クレセントスツール』といいます。
持ってみてください。とても軽いですよ。

長時間座ることより小休止をイメージしています。
キッチンでのお料理や何かの作業中に、好きな所でほっとしてもらう感じです。
花瓶などを飾っていただいてもいいですね。

 

スタイリッシュなデザインで、ディスプレイとして使っても素敵ですね。
一台家に置いておきたくなります。

家に一脚あると嬉しい、いろいろなシーンで使えるスツールです。


 

座面の作りが独特ですね。こだわっていらっしゃる部分でしょうか?

月をイメージしてノミの彫り跡で三日月を表現しています。


 

このアールの部分でスツール同士をくっつけられ、ディスプレイの際のデザイン性も高いと思います。


 

ほかには、ウィンザーチェアを参考にして、その仕様を取り入れつつ自分らしくデザインしています。


 


 

ありがとうございます。ほかのこだわり作品を教えていただけますか?

ダイニングテーブルですね。
テーブルの最大の特徴は脚です。それに天板の部分。ここの作りは非常に特徴的になっています。


 

こだわりのポイントを教えてください。

まずは脚のデザインです。脚のクラシックな面取りがポイント。本当に少しのことですが、このデザインにすることで立体感が出ます。


 


 


 

ダイニングテーブルへのこのようなこだわり方は初めて見ました。
脚部分のデザインを変更するだけで、これほどにも印象が変わるのですね!

本当ですか?ありがとうございます。
ほかには、幕板が奥にあるデザインになっていて、アームチェアも入る設計にしています。
機能をデザインに一緒に盛り込むイメージです。


 

ほかの職人さんでもいると思うのですが、機能を考えた結果、それがデザインに繋がることは結構多いですね。

機能的に意味のないデザインをする人は少ないでしょうが、僕はあえて意味のない事をするのも好きです。


 

意味のない事ができるのも、個人工房を構えている職人さんだからこそですね。

それはあると思います。
個人でやっている強みというか、思いついたらできちゃいますからね。
オーダーはお客さまの要望を聞くことが前提ですが、オリジナルは好きなようにできますので。

 

こちらのダイニングテーブルを作るのにどれくらいの日数がかかるのですか?

制作期間は10日ほどです。
ただ実際は、木取りといって製材後に乾燥期間を設けて、作る場所の空気に馴染ませてからの制作になりますので、オーダーをいただいてから2ヶ月程度はかかります。


 

このようなオーダー家具をご購入されるお客さまはどのような方が多いのでしょうか?

多いのは40代以降のお客さまですね。
新築で家を建てたり、家のリフォームをされたり、新しいテーブルを購入されるタイミングのある方です。

 

テーブル以外ではどのようなオーダー家具を作ることが多いですか?

テーブルのほかには、箱物やキャビネットが多いですね。
古い桐箪笥をリメイクしたこともあります。「使いたいけど住宅事情で箪笥のままでは置けないのでリメイクをする」というオーダーもあります。


 

オーダーはどこまでできるものなのでしょうか?

基本はフルオーダーで受け付けています。
ただ、工房の技術的にできないこともあります。そういう時は、残念ですが「得意なところでオーダーした方がいいですよ」と正直にお話ししてお断りします。
でも、うちのテイストに合わない無茶なオーダーはあまり来ることがありません。

 

急に話が変わりますが、
事務所にあるこちらの地図はなんの地図ですか?どうしても気になってしまって。

これですか?
これは、昔から好きなバンド、グリーン・デイのビリー・ジョーにアメリカに行った時に会えたことがあったんです。


 

凄い!プライベートで行かれたのですか?

そうです。
その時に「あなたの履いてるパンツはどこで売っているのか」と尋ねたら、店までの地図を書いてくれたんです!それがこの地図です。
びっくりしたのは、翌日また会った時に、そのパンツを買ってきてくれていたのです。
あの時は本当に嬉しかったですね。

 

素敵なエピソードですね!ありがとうございます。
次のオススメ作品を教えていただいてもよろしいですか?

普段あたり前のように使う、「ティッシュボックス」です。
オーダー家具はどうしても高価なイメージが強いと思いますが、ティッシュボックスなら身近に置いて無垢材の良さを気軽に知ってもらえると思います。


 

こだわりのポイントを教えていただけますか?

一番は使いやすさです。上から簡単にティッシュを替えられるようになっていて、ティッシュを出しやすい角度で面取りしています。


 

木製小物は手作りの温かみが前面に出がちで、シュッとした感じになりにくいので、薄く、形が綺麗に見えるデザインを意識しています。


 

確かにとても薄くて繊細なデザインですね。

繊細でありつつ、強度は大事にしています。細いラインや薄さと強度を両立させるのはとても難しいのです。
ほかにも、家具にはなかなか使えない木目の節のある木材をあえて使うなど、適材適所にすることを楽しんで作っています。


 

木製のティッシュボックスはお部屋のアクセントにもなりますね!
ありがとうございました。

 

こちらに置いてある木材は何用ですか?すごい迫力ですね。

これはお客さまの持ち込み木材です。
うちに加工を依頼する前提で購入されたそうで、神代栃という木材です。
栃の木は本来白いのですが、「神代」と名のつくこの木材は、何千年も土に埋まっていたものなので、このようなグレーがかったような色味をしています。


 

中までこういう色になっています。本当にとてもいい色で、なかなか出せるものではありません。
 

そのような木材を持って来られるお客さまもいらっしゃるんですね。
さまざまなオーダーを受けて形にされている、いいお話を伺えてよかったです。
ありがとうございます。


 

オーダー家具制作のほかにもされていることはありますか?

修理などもやっていますね。
ほかには古い家具のリメイクやメンテナンスもしています。

 

メンテナンスですか?古い家具ですと大変そうですね。

そうですね。
ほかで修理を受けていないような家具も僕は受けています。
古い家具の修理にはリスキーな部分もありますが、おもしろさもあります。
何より、お客さまがとても喜んでくださいます。
「修理代が購入金額と変わらないですよ」とお伝えしても修理を望まれる方は結構いらっしゃいます。
それは思い入れや大事に使おうという気持ちがあるからだと思います。
そういう「思い」をうちで形にできるのはとても嬉しいことです。

 

技術のある方に修理してもらえるのは安心できますね。
次に工房の中を案内していただいてもよろしいですか?

大丈夫ですよ。簡単に工程を説明していきますね。
まず材木が荒木と呼ばれる状態で入ってきます。


 

ここからだいたいの寸法に木材を切ります。
そして、この手押し鉋と呼ばれる機械で板を平らにしていきます。


 


 

荒い状態ですと木材が反っていることもあるので、それも削って平らにします。
これが第1基準面といって全ての基本になります。

 

なるほど。こうして木材の4面作っていくんですね。

そうです。1面を決めた後に2面目を決めます。今度は厚みがバラバラなので削って整えていきます。


 

今度はこの昇降盤を使って寸法を決めます。


 

最後に両端を切って部材の完成です。これを基本に、全ての部材で同じ工程をおこないます。


 


 

1つの部品(木材)を作るのが、こんなに大変なのですね。

ほかにも、テーブルなら貼り合わせるなどいろいろな加工があります。
機械によってもさまざまです。
穴を掘ってホゾを作ることで1つの家具になっていきます。


 

最後に、鉋掛けをします。鉋掛けにはこだわっています。
サンダーやサンドペーパーを使って削るよりも、鉋で削った方が早くて綺麗。しかも色も光り方も全然違うんですよ。
それに鉋で削ってあれば、少しの時間ですが水も弾いてくれます。
塗装を施す前には、塗料が均一にのるようサンドペーパーの行程が入ります。


 

鉋掛けだけで水を弾くとは、初めて知りました!

少しの時間、弾いてくれるんですよ。
無垢木材の家具はオイルを1回塗っただけで綺麗になりますし、手触りも含めて量産品とは違います。
オイルフィニッシュも処理次第で、艶も印象もまったく変わります。実物を見て触ってほしいですね。
こういう所にこだわれるのが個人工房の強みだと思います


 

ありがとうございます。最後にコラムの読者に一言よろしいでしょうか?

普段、家具を作っているのを見ることはなかなかないと思います。だからこそ見にきてほしいと思っています。
数ヶ月に1回、「オープンデー」というイベントとして自由に見学できる日を設けています。
作っている場所、機械、家具を見ることができるので、興味がある方には楽しんでいただけると思います。ぜひお気軽に工房へ遊びに来てください。

 

西山さんありがとうございました!

 

木工yamagen
〒246-0038
神奈川県横浜市瀬谷区宮沢4-14-1
tel : 045-744-7128
mail : mokkouyamagen@gmail.com

Writer Profile

Takuto Suzuki
Inte-code.inc所属のインテリアコーディネーター。1991年静岡県生まれ。北欧インテリアショップの販売職を経て、inte-codeで空間のコーディネートを行う。その経験をもとにインテリアショップ体験記の運営、取材を担当。

 


Yoshiaki Ogiwara
インテリアショップ体験記のカメラマン、編集、取材を担当。
アパレル業界で10年働いた後、現在インテリアの勉強をしながら独立に向けて日々精進中。

 

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