「MOTO FURNITURE」店舗訪問記
今回は北欧を中心にヴィンテージ家具を取り扱う「MOTOFURNITURE」でお話を伺いました。
都心に店舗を構えず、倉庫兼店舗として家具の販売をする理由とは?お客様のことを考えた「適正価格」での販売とは?いろいろとお話を伺いました。
2020年ヴィンテージ家具業界
ーー現在コロナ禍で非常に厳しい情勢だと思います。現在のヴィンテージ家具業界の動向を教えていただけますか?
家具業界全体でいうと上向きになっていると思います。
コロナ禍でリモートワーク化がすすみ自宅での生活時間が長くなっていることで、家具への関心を持つ方が増えているのが実情だと思います。
実際に以前よりもお問い合わせが増えてきました。お部屋のインテリアに関心をもっていただけることは、僕らにとってとても嬉しいことです。
ーーどのようなお客様が増えているのでしょうか?
女性のお客様が増えている印象です。
以前は、ヴィンテージ家具ということもあり、40〜50代の男性のお客様がメインだったのですが、コロナで外出自粛が広まり海外旅行や外食を控えて家で過ごす時間が増えたこともあって、男女問わず幅広い層からの問い合わせが増えています。
その中でも30代〜40代の方からのお問い合わせが多いですね。
ーー客層が広がることで、人気の商品も変わってきているのですか?
今までの弊社のメインは30〜50万円前後のソファです。最近は10万円前後のダイニングチェアなどを購入されるお客様が増えてきました。
おうちでの過ごし方が変わってきているという証拠ですかね。
少しでもこだわりのある家具を使いたいという気持ちなのだと思います。
海外買い付けが難しい中、今の買い付けの方法とは
ーーヴィンテージ家具を扱う上で、仕入れが非常に重要だと思います。現状で渡航は難しくなっているのでしょうか?
デンマークで3ヶ月に一度大きなオークションがあるのですが、コロナの影響で3月を最後に海外買い付けには行けていません。
高い家具を仕入れする場合、現地で家具の状態を見て買い付けをしているので、渡欧できない現状ではハイピースな家具の買い付けは難しくなってきていますね。
ーー今はどのように商品を買い付けているのですか?
ネットオークションは動いているので、売れ筋の家具などはネットオークションで画像で判断して落札し、コンテナを使って運んでいます。
判断材料が画像のみになるので、商品を選定する知識、経験は非常に重要になってきます。
家具の目利きができないと買い付けは本当に大変だと思います。
ーー知識がないと特に買い付けは難しいのですね。
北欧ヴィンテージ家具の今後
ーー近年、北欧のヴィンテージ家具がどんどん少なくなっているというお話を聞くのですが、実際に少なくなってきているのでしょうか?
確かに減ってきている家具もあります。
その中でも、学校に置いてあった家具や庁舎で使われていた家具などが一気に見つかることがあるので、その都度ディーラーさんに情報をいただいて買い付けすることは可能です。
ですからすぐに買い付けができなくなるということはないかと思います。
現在ある家具も今後20〜30年と経過するとヴィンテージと呼ばれるようになってくるので現状で減ってきているということを気にする必要はないと思っています。
ーーヴィンテージ業界でMOTO FURNITUREは今後どのようにしていこうと考えていますか?
家具が減っていくと必然的に価格も上がってしまいます。
そのため、他のショップさんは近年値上がりしているところも多いのですが、MOTO FURNITUREでは今までのように引き続き良い家具を安く提供できるようにしたいと考えています。
家具に興味を持ってもらえることが1番嬉しいですから適性価格を守っていきますよ。
ヴィンテージの家具はクオリティも高く資産価値もあります。
価値として認められているものですし機能的にも素晴らしいのですが、ご存知ではない方もまだ多いので、少しでもその価値を広めていけるようになりたいと思っています。
ーー資産的にも価値があるとのことですが、ヴィンテージ家具に投資される方などもいらっしゃるのですか?
最近はそのように考えている方も増えてきています。
ただアートや時計などと違い、興味がなくわからないと「本当にこの価格で売れるの?」と不安になる方が多くいるのも事実です。
投資という点で考えるなら、まずはヴィンテージ家具に興味を持っていただくことが必要だと思います。
実際に投資という観点で購入される方もいますし、税金対策に購入される方などもいらっしゃいますので、日常で使える資産として1つの投資先に考えていただけると嬉しいです。
MOTOFURNITUREが都心に店舗を構えない理由
ーー他のヴィンテージ家具ショップとの違いを教えていただけますか?
ひとつめは倉庫兼店舗という形態をとり、都心の一等地に店舗を構えていないことです。
都心に店舗を構えると家賃も高く、常駐スタッフもおかなければなりません。それをしないことでできる限り経費を削減し、家具を安くお客様に提供できるようにしています。
もうひとつは、デンマークにも倉庫を借りていることです。
デンマークに倉庫を借りることで、仕入れの際に効率の良い仕入れができるので、さらに経費を下げて、安くご提供できるようになっています。
現在、倉庫兼店舗は相模原にあります。少し不便な場所ではあるのですが、実際に見て触れて購入していただけます。価格も他のショップさんより抑えて提供できています。
ーー安く購入できることで、嬉しくなるお客様は多いと思います。
販売価格はどのように決めているのでしょうか?
世界的な相場があるので、その相場を見て価格設定をするようにしています。安くし過ぎてしまうとその物自体の価値を下げてしまうので難しい部分でもあり経験が必要になってきます。
あるデザイナーの商品値段が上がり、フィンランドですと物によっては3倍くらいの価格になったことがありました。
そのような価格の変動を見極めるのも、やはり知識と経験が必要ですね。
ーー価格の変動はお客様から見れば、なかなかわからない部分ではありますね。
変動が激しいのでお客様にとっても理解しにくい部分ではあると思います。
「5年前はこの価格で買えたよ」と言われることがあるのですが、今では5年前の販売価格より仕入れ価格の方が上回っている家具もありますからね。
ーー5年間でそこまで値段が変動するんですね。
金額が上がることはわかるのですが、逆に下がることはあるのでしょうか?
上がることはあっても下がることはほとんどありません。
ヴィンテージ家具はこれからも減少する傾向にあるので、コンディションにもよりますが家具の値段が下がることはあまり考えられません。
例えば10年前にソファを購入して、今でも当時の購入価格で売れてしまうこともありますし、それ以上に高くなることも珍しくないです。
以前にポール・ケアホルムというデザイナーの網掛のソファを買い取ったことがあるのですが、50〜60年前に銀座の松屋で購入されたソファを弊社では150〜200万で買い取りしたこともあります。
ーーすごいですね!そんな金額で買取するほど価値が高まるんですね。
ーーヴィンテージ家具は日常で使い続けていてもしっかり価値がついてくるのですね。投資としてすごく良いと思いました。
ソファはベースとなっている木部に価値があります。レザーやファブリックを張り替えてウレタンも交換すれば新品のような見た目になり、綺麗に使っていただければ価値は保てるのです。
日常生活で使いながら価値を保てるのは、他の投資にはなかなかない点だと思います。
車なら一部をのぞいて新車で買っても使っていくうちに価値は下がってしまいます。その点ヴィンテージ家具は面白いと思います。
ただ、さきほどお話ししたように、北欧家具に興味がなければ調べていくことが少し大変に感じられることもあるかもしれません。
「家具が好き」から始まったMOTOFURNITURE
ーーヴィンテージ家具は市場通りの価格で購入できないこともある中で、市場価格で購入できて価値も上がれば購入する人にとってもメリットが大きいですね。
そうですね。
弊社で購入していただいたお客様には、買取も強化していきたいと考えています。
購入して年月が経った後に同じ金額くらいで買取することができたら、お客様は嬉しいことしかないですよね。
ーー「適正価格」で家具を届けたいと考えられた理由はあるのでしょうか?
家具が好きでこの業界に入ったのですが、もともと家具業界にいたわけではなく全く違うビジネスをやっていました。
ーーえ!!以前は何をされていたのですか?
自分で運転代行の会社を立ち上げていました。
家具は完全に趣味だったのですが、本当に好きで、販売できたらいいなとずっと思っていました。
「買いやすい価格でヴィンテージ家具を多くの人に届けたい」という思いがスタートでしたね。
ーー「家具が本当に好き」という気持ちから始まったのですね。
そうですね。本当に良い家具ばかりなので。デンマークは「物を捨てない」「代々受け継いでいく」という文化だから、オークションハウスもいろいろなところに点在しているのです。
オークションハウスに持ち込んで売買をすること、そして新しい家具とヴィンテージ家具をミックスして使い続けることをみんながしています。
日本は全くの逆で使い捨てが多く、引っ越しのタイミングでも家具を捨ててしまうことが多いと思うんです。
捨てないことは環境にも良いですし、将来資産価値にもなる。僕の中では悪いところが見当たりません。そういう部分も北欧ヴィンテージがすごく好きな理由ですね。
※オークションハウスとは、オークションを行う場またはオークションを行う競売会社のこと。
ーー本当にその通りですね。家具の見え方が変わります。
ぜひ椅子一脚からでも良いので使ってみてください。使うことで良さをわかっていただけると思います。
お客様には直接見て、触って、ものの良さを理解していただきたいです。僕がその作られた背景やストーリーも合わせてお伝えできたら、僕みたいにヴィンテージ家具を好きになる人が増えるんじゃないかと思っています。今後もっと北欧ヴィンテージ家具の魅力を伝えて、発信していけるように考えていきたいですね。
記事を見てくださる読者に一言
ーー最後に記事を読んでくださった方に一言お願いします。
弊社は倉庫兼店舗に常駐スタッフがいないためアポイント制になっています。敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、気軽に倉庫に足を運んでいただけたらと思います。
ヴィンテージ家具はメンテナンスが難しいとお困りの方はぜひMOTOFURNITUREへ。当店でははかなり細かくメンテナンスもしております。ご来店時に詳しくご説明いたしますね。
その際にヴィンテージ家具の良さも合わせてお話しいたします。少しずつで良いのでヴィンテージ家具に興味を持っていただけたら嬉しいですね。
ありがとうございました!
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