職人体験記

工房訪問!「吉光窯」高橋さんにインタビュー!

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「吉光窯」店舗訪問記

今回は吉光窯を訪問し、高橋さんにいろいろと聞いてきました!若い職人さんですが作る作品のセンスは素晴らしいです!

 

今回は『吉光窯』に訪問!

 

高橋さんが始められた経緯、きっかけを教えていただけますか?

代々陶芸を仕事にしている家で育ち、子どもの頃から陶芸に触れて生活しているので、「僕がやらなくちゃいけない」という使命感のような気持ちがありました。
大学卒業後は、服が好きだったので一旦はアパレルメーカーに就職しましたが、働く中でいろいろと疑問がでてきて、「やっぱり陶芸をやりたい」と思うように。
育った環境の中で、周りにサラリーマンをしている人がいなかったので、自分がサラリーマンをしているのが想像できなかったというのもあります。

アパレルメーカー勤務から職人への転向に、違和感はありませんでしたか?

もちろんありましたよ。ただメリットもすごくありました。
アパレルメーカーで、商談や流通、運営と、いろいろな仕事をしたことで、ほかの作家さんとは違ったアプローチで物事を考えられる点が今に活きているかなと思います。

高橋さんの作る作品のこだわり、特徴を教えていただけますか?

制作の際、大事にしているのは、土味、表面の質感です。
ゴツゴツした感じというか、綺麗な作品というよりも男らしいというような。そういう作品を作りたいと思っています。
同時に、「見たまま作品ができ上がるのはつまらない」と思っています。

「見たままでき上がるのがつまらない」とはどういうことですか?

陶器には、焼くと変化するものと、焼いても変化しないものがあります。
例えば、黄色の顔料を使った土は焼いても黄色いまま、黄色い作品になります。なので完成イメージがつきやすく、作りやすい。
僕は、同じ土でも焼き方で全然違う色になることや、焼きむらを作ることが楽しいと思っています。
作品を制作するうえで、意図しなかったところに出てくる変化やふとしたことで、とてもいい作品ができることがあります。一点ものの、そういう作品を見てほしいですね。
もちろん、それは作家の個性であり人によって考え方は違うと思います。100%イメージ通りのものを作りたい方もいらっしゃいます。「これが正解」というのはないと思います。

作家として活動されているのはいつ頃からですか?

僕が個人として活動を始めたのは今年からです。今は植木鉢をメインに作っています。
塊根植物や多肉植物をメインで取り扱うショップを中心に6店舗程度、一緒に仕事させていただいています。
家業は陶芸材料や粘土を売る問屋です。陶芸用以外にも彫刻用の粘土を全国の大学に卸したり陶芸教室をしたりしています。90%くらいの大学に卸していると思います。

大学のシェア90%ってすごいですね。

創業100年以上の問屋なので。芸大が近くにあることもあり、そこをスタートにいろいろと派生していきました。
焼成代行という仕事もしています。

焼成代行というのはどんなお仕事ですか?

簡単にいうと、焼く専門の仕事です。
依頼を受けて焼成して陶器を完成させる仕事ですね。
例えば、幼稚園や小学校の美術の授業で学生が作ったものを焼きます。

なるほど。作ったものを焼いてくださいという依頼が来るんですね。

そうですね。学校などへ粘土を送り、でき上がったものを生のまま返送してもらいます。
それを当店で釉薬もかけて完成させます。これから秋にかけてがピークですね。
基本、1230℃くらいで焼きますが、毎年2000点ほどの作品が送られて来ますので、常に200℃程度の熱い状態での窯仕事は本当に大変です。

ここが窯ですか?この二つともですか?

そうですね。こちらの大きいのが普段使っている窯です。

そして、この小さい方は楽焼の焼成専用窯です。京都に多い焼物で、京都に楽家という名門があります。都内では珍しく、ほとんどやっていないと思います。

作品によって使う窯が違うのですね。

違います。
大きい窯は15時間ほどじっくり焼いてじっくり冷まし、でき上がるまでに丸二日ほどかかります。
時間をかけて焼くことで、熱カロリーで粘土が焼き締まるので硬質な陶器ができ、叩くと高い音がします。
逆にこの楽焼は高温にした窯に入れて10分程度で出してしまいます。「軟質陶器」というのですが、短時間で焼くことで焼き締まらず、内部が空洞のようになっていて叩くと独特の低い音がします。

それほど違うものなのですね。

作っていても面白いですよ。
うちは元々、祖父が茶道家で楽茶碗を作っていたのが始まりです。これが黒楽です。

作るものによって若干温度が変わります。この黒楽は窯の温度を1000℃以上に熱します。
温度計などは一切ないので、火の色を見て判断します。温度はもう、今までの経験ですね。

 

こちらの大きい作品は高橋さんの作品ですか?

これらは父と僕の作品で、コンペや公募展に出品するためのものです。
国立新美術館や東京都美術館などの美術館で展覧会が行われます。
大きな美術館に出す時は、これくらい大きいものでないと見栄えがしないので、作品は大きくなりますね。
この辺の作品は前回出展した作品です。

制作にはどれくらいかかりますか?

作品によってまったく異なりますが、僕はろくろを使って作るので半日ほどですね。
父は手びねりという粘土を紐上にして積み上げて作る方法なので時間がかかります。
ろくろを使うと底が丸いものしかできませんが、手びねりは楕円やオブジェのような作品も作れます。
どちらが良いということではなく、好みやその時の作りたい形などで変わるかなと思います。

僕の個人的意見ですが、工房をきれいにすることに注力している工房より汚い方が信頼できる気がしますし、好きです。

工房をきれいに保つかどうかは、制作物の種類によって変わるのではないかなと思います。
僕の作品は、釉薬を使わずに自然の土の色や土感を出して表現しています。でも、例えばガラスのような釉薬を使う作品や、金銀を使う作品は、少しの汚れがついただけで致命的なので、工房もきれいにしておかないといけません。

 

そうなんですね。髙橋さんのオススメ作品を教えていただけますか?

今オススメなのはこのヒビが入ってるこの鉢ですね。

先ほどお話しした、「最初に意図したものとは違う表情」がでています。ベースの形は決まっていますが、ヒビの入り方や深さは各々変わっています。

どんな感じでこの模様が入るのかわからないというところに面白さを感じますね。
作り方はとてもシンプルですが、その中にいろいろな表情が詰まっていて、ひとつひとつ顔が違います。

植物とアレンジしたものもぜひ見てください。

すごくいいですね。オススメの使い方は植木鉢としてですか?

僕は塊根植物がオススメですが、お好きな植物を植えて楽しんでほしいです。「この植木鉢ならこの植物が合いそうだな」という感じで使って楽しんでもらえると嬉しいです。

これからの展望や、やりたい事があれば教えていただけませんか?

今は、別注で作品を作ることが多いです。作家さんのなかには「こういうのを作ってほしい」と言われて作るのを嫌がる方が多いように思います。
でも僕はむしろ、きっかけを与えてもらえるのが嬉しいタイプで、僕だけでは思いつかなかった作品ができることが嬉しいですね。
僕の頭の中だけではどうしても限界があります。でも、新しい意見をもらうことでそれがきっかけとなり突然ひらめくことも。
なので、「これだけ」と縛らずにいろいろなことをやっていけたら、僕個人としては一番良いかなと思ってます。

最後にコラムの読者に一言よろしいでしょうか?

「探す」ことを楽しんでいただけたらいいですね。
「人が良いというから」ではなく、「自分で良いと思ったもの」を探してほしいです。
さまざまな作家さんがいるなかで、「売れているからこれが良い」という選び方をしないで、本当に気に入るものを探してもらいたい。その上で作家としても選んでもらえたら嬉しいです。
後は、いろいろな意見を言っていただきたいですね。作品に対して「もっとこういうサイズがほしい」など。もちろんできないこともありますが、僕は、遠慮せずに言ってほしいです。

高橋さんありがとうございました!

吉光窯
〒114-0014 東京都北区田端1-6-6
Tel / 03-3828-5279
E-mail / shunya_t0707@yahoo.co.jp

Writer Profile

Takuto Suzuki
Inte-code.inc所属のインテリアコーディネーター。1991年静岡県生まれ。北欧インテリアショップの販売職を経て、inte-codeで空間のコーディネートを行う。その経験をもとにインテリアショップ体験記の運営、取材を担当。

 


Yoshiaki Ogiwara
インテリアショップ体験記のカメラマン、編集、取材を担当。
アパレル業界で10年働いた後、現在インテリアの勉強をしながら独立に向けて日々精進中。

 

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