職人体験記

工房取材!『Woody−One』金子さんにインタビュー! 『女性ならではのデザインを提案する家具職人』

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「Woody−One」工房訪問記
今回はWoody−Oneを訪問し、金子さんに色々なお話を聞いてきました!
初めて女性の職人さんにお話を伺うことが出来ました!女性目線の家具とても楽しみです!ぜひご覧ください!

意外な仕事から職人へ。工房を始めた理由

ーーいつから始められた工房なのでしょうか。

この工房は2003年にスタートしましたが、実際は20年位前からものづくりをしています。

ーー職人になろうと思ったきっかけを教えていただけますか?

工房を始める前に、友人が子供服のお店を始めることになりました。私がもともと木を使っていろいろなものを作っているのを知っていたので、「お店で使う什器を作って欲しい」と頼まれたんです。その時はタンクローリーなどの特殊車両の図面を書いていて、家具とは関係がない業界にいたんですけどね。
それがWoody−Oneを立ち上げるきっかけになりました。


 
ーーすごい!全然違う業界から木工の世界に入られたのですね!

CADを使った仕事がしたくて、基本的な図面は書くことができました。だから友人が作って欲しいということにも対応できて、作り始めたのです。
もともと実家は木型屋をやっていたので、木工は全くやるつもりはなかったんです。
でも、友人のお店がオープンしてお客さまが什器や家具を見た時に「どこで買ったの?」と評判が良くて。
その時にチャンスをいただいたので「やってみよう」とWoody−Oneを立ち上げました。


 

流行には乗らない。自分が好きで作ったものを気に入ってもらえる瞬間

ーー什器を作ったときに苦労されたことはありましたか?

「作ってみよう」から始まったのですが、「どういうものを作ろうか」と考えるのが苦労しました。
私が好きな「アンティーク加工の什器を制作する」と決まったのですが、当時まだそのデザインが浸透していなかったので、洋書を見て参考にしました。


 
ーー「何もないところから作る」のは大変なことですよね。

実家が木型屋をしていることもあり、環境には恵まれていました。
木に触れる機会はずっとあったので。
モノを作ることやインテリアに関することが昔から好きだったので、友人に依頼された時も全く抵抗はありませんでした。

ーー工房としてスタートして壁に当たった経験はありましたか?

もちろんありました。
初めは仕事もあまりなく、紹介していただいたイベントや展示会に参加していました。
当時はカントリー系のものが流行っていて、ハートの切り抜きなどがとても人気でした。
でも私は抵抗があって流行りものは作らなかったんです。
凝った作りのものを作って、しっかり値段をつけて出展したのですが、隣では数百円のハートの雑貨が売られています。
私は流行りものを作っていないし、値段も高いしで全く売れず帰ってきました。
その時はすごく悔しかったですね。

ーー今ならアンティーク系の作品も人気がありますよね。
販売が難しかった当時の状況から今まで、どのように乗り越えられたのですか?

少しずつだったと思います。
初めてのイベントの後、他のイベントでも作品を車いっぱいに詰め込んで持っていっても全く売れないこともありました。でもめげずにいろいろなイベントに参加して、少しずつ知ってもらえるようになってきました。
その時はカントリーが流行っていましたが、私が作る作品を好きと言ってくださる方もいらっしゃったんです。
そこから少しずつですが口コミで広がっていきましたね。


 

女性目線で作られる家具デザイン。総無垢にこだわったオリジナル建具

ーー自分で制作するもののデザインのこだわりはどのようなものでしたか?

基本的に「自分が欲しいものを作る」これがベースになっています。
工房を始めた当初は子供が幼かったので、怪我をしないように家具の面の作りをとても気にして製作していましたね。

女性家具職人はとても少数です。だからこそ、女性目線、母親目線での家具を作ろうと思っています。とりわけ安全を考慮したデザインをしていると思います。

ーーオーダー家具はヒアリングが大事ですものね。
女性のお客さまは相談しやすいですね。

やはり女性のお客さまは多いですね。
テーブルなど、女性が使うことが多いものについてご相談いただくケースがよくあります。
母親目線でデザインからご提案できますので安心と言っていただけ、嬉しいです。

ーー金子さんの思い入れのある作品を教えていただけますか?

思い入れのある家具は、友人がお店に置きたいと依頼してくれて初めて作ったキャビネットです。
本当に何もわからないまま作り始めました。「洋書に載っているこういう家具が作りたい。でも、どういう材料を集めれば良いのか」など、とても試行錯誤しました。
材料も、実家で木型を作っている木材とは全く違うので、材木屋さんから材料を調達して、加工して、と、いろいろな作業の中で苦労しました。
でも手間がかかった分、思い入れも強い作品です。

ーーキャビネットはどのような形だったのですか?
下に扉のついた棚があって、その上にマグカップやお皿を立てかけてディスプレイできるディッシュラックがついているキャビネットですね。

 
ーーありがとうございます。それでは次のこだわり作品を教えてください。

友人宅の建具を初めて作りました。

ーー建具も作られるのですね!建具を作るのは大変ではないですか?

そうですね。建具は建付なども考えて作らなくてはならないので、実はとても大変でした。
友人が「もともとの扉がボロボロになってしまった」と話していて、「だったら作れないかな」と思ったのがきっかけで作りました。

ーーとても綺麗なパッチワークのデザインですね。
このデザインにしたのはなぜですか?

友人に好きなデザインを聞いて、このパッチワークを考えました。
木材や柄は私がすべて選定して、ドアノブなどもこだわり、新しいものではなくレトロ調なものを選んで取り付けました。建具に使用した木材はすべて無垢材なのもこだわりの一つです。


 

ーーすべて無垢材を使われているのですね!
建具製作は少しでも調整を間違えると建付にも影響して、難しいですよね。

そうですね。
信頼してオーダーしていただいたので、何度も微調整を繰り返して最後はしっかり良いものを作ることができました。
最終的に友人もすごく気に入ってくれて、本当に思い入れがあります。

扉を注文してくれた友人は、その後に新築の一軒家を建てました。そのとき、もともと取り付けたマンションから扉を持って行って新築のお家に取り付けてくれました。

ーーそこまで気に入ってもらえると作る側としては本当に嬉しいですね。

本当に嬉しいですね。
それに合わせて今度はテーブルも作って欲しいということで建具に合わせてテーブルを作りました。


 
ーーすごいですね!!建具に合わせたテーブルは、お部屋に統一感が出ますね。

もともとダイニングセットはオーダーしていただいていたんです。今回作ったテーブルは、お客さまが来た時に使えるよう、脚と天板が分かれたデザインになっています。
使わない時は壁にかけて、アートのように楽しんでいただけます。


 
ーーそのような使い方もあるんですね!新しい発見です。

脚は脚単体でも使えるデザインで、スツールにもちょっとしたサイドテーブルにもなります。シチュエーションにあった使い方ができるテーブルなのです。


 

 
ーー建具とテーブルを合わせているお部屋はとても新鮮です。
建具と家具を合わせるとお部屋のコーディネートがすごく広がりますね。

本当にそうですね。
建具を作るのは初めてだったので難しかったですが、作ることで私の幅も広がりました。
何よりお客さまに喜んでいただけたのが嬉しかったです。

総無垢のアクセサリー。HAKUシリーズ

ーーありがとうございます。
それでは最後に次の商品をご紹介いただいてもよろしいですか?

こちらの『HAKU』シリーズです。2019年に初めて商品として出しました。


 
ーーシンプルで素敵なデザインですね。
HAKUシリーズのデザインコンセプトを教えてください。

ボリュームがあり、存在感のあるリングを作りたいと思いました。
当初は木だけで仕上げていたのですが、女性が身につけるにはちょっとカジュアルな感じが強くなってしまうのが悩みどころでした。木材のみですと民族感が出てしまうので金や銀の箔を貼ってデザインすることにしました。


 

ーー天然の木材だけですと確かに民族寄りのテイストになりますね。
箔を貼るのは難しそうな作業ですね。

箔を貼るのって一発勝負なんですよ。
厚さが0.0001mmの箔を接着剤を塗った面に貼り付けていきます。
自分が納得できるように貼るのは本当に難しいですね。
難しいですが、一つ一つ表情が変わってくるのでやっていてとても楽しいです。


 

ーー全て表情が違うので選ぶ楽しみがありますね。
この中でオススメを教えていただけますか?

この辺の形が私は好きですね。木材は使う場所によって木目が変わってきます。それも選ぶ時に楽しいポイントかなと思います。


 

ーー木の良さを最大限に生かしたアクセサリーですね。女性だけではなく男性にも使って欲しいですね。

女性でも男性でも使えるデザインは珍しいんじゃないでしょうか。ぜひ使ってみてください。

ーーこちらのリングは販売されているのでしょうか?

はい。現在、カフェなどに委託で販売させていただいていますね。
他にはイベント出展などの際に購入できます。


 

読者の皆様へ、金子さんから一言

ーーありがとうございます。最後に読者の方に一言よろしいでしょうか?

女性作家ならではの視点を大切にしたいと思っています。
男性作家の方とは違うちょっとした工夫や、使いやすさを追求している部分がたくさんあると思うので。女性の方も同性として話しやすいと思います。
ご相談いただいたことからいろいろ提案もいたします。
そこからコミュニケーションが取れたら嬉しいですね。
どうぞ気兼ねなくお気軽にご相談ください。

金子さんありがとうございました!!
 

Woody-One
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