現在、北欧ビンテージ家具の市場はどのような流れでしょうか?
ビンテージ家具とは有限なもので、数は年々減っていますね。
レアなものほどこれから見つからなくなるし買い付けも難しくなっています。
古い年代のものほど、どんどん数が少なくなっていくということですか?
今以上に手に入れるのは難しくなっていくと思います。
商品がないということは自然と価値も上がるので価格も高騰していきます。
デンマーク、北欧のビンテージは日本だけで流行っているわけではなく世界中で注目されて流行しています。
人口が600万人ほどの国に世界中からバイヤーが集まるわけですから、仕入れはどんどん難しくなっていきますね。
これからビンテージ家具はどうなっていくと思いますか?
古い家具にはアンティーク家具もありますよね。
アンティーク家具とビンテージ家具には住み分けがあって、アンティークですと大体100年程度前の家具、ビンテージですと1940〜70年代頃頃の家具っていう感じで線引されてるんです。
1980年代に日本ではアンティーク家具がすごく流行しました。その流れは、ピークの時ほどではないにしても、今も廃れることなくずっと続いているんですよね。
同じようにビンテージ家具にしても良いものっていうのはずっと残っていくと思います。
流行りというだけではなく、根強いファンは必ずいますのでビンテージ家具としてあり続けるのではないでしょうか。
世界的に価値のあるものという認識があるのでゼロになることはないと思います。
買い付けの大変さはどのようなところにありますか?
一番大変なのは、やはり良い商品を探すことです。
ビンテージ家具は基本的に一点ものです。
探している中で、年代だけ古くても使えなくて商品にはならないものもたくさんあります。
どのような基準で選ばれていますか?
値段、コンディション、人気など、いろいろことを常に考えて買い付けしますね。
現地に何人も知り合いのディーラーがいますので欲しいものを集めてもらって、その中から商品を選びます。そうやって商品を集めていきますね。
長年のコネクションがあってこそうまくできることですね
もう15年位やっていますからね。
その中でできた信頼やコネクションは財産ですね。
ディーラーさんは現地で探すのですか?
今の時代、インターネットで探すこともできると思いますが、僕が付き合っている人たちは現地へ行かないと出会えない人達ばかりです。何年も培った信頼で成り立っています。
一回の買い付けでどれくらいの商品数を買い付けてくるのですか?
買い付けによって前後はありますが、300〜400点程度ですね。
コンテナ一個分くらいの量ですね。
いつもどの国に買い付けに行かれますか?
デンマークとスウェーデンですね。
デンマークとスウェーデンは隣国だからかテイストが似ているところがあり、家具としても合わせやすい面もあります。
買い付けに行くときに気をつけていることは何ですか?
タイミングが大事なので一番は神頼みかなと。
現地のディーラーさんが僕より先に他の買い付けバイヤーさんに商品を見せて、売買が成立してしまったタイミングで行くと商品がないということもあります。
良いタイミングで会えますようにっていう神頼みですね。
店頭に来てくださるお客様もよく言いますが、『ビンテージ家具って本当に出会いだよね』という話になるのです。
欲しい商品があるんだけど全然見つからない。逆にずっと見つからなかったのにふとしたきっかけで見つかったりするんです。
全てタイミングなんですよね。
バイヤーとしてバイイングに必要な能力は何ですか?
まずは商品の知識と目利きの能力ですね。
骨董品の一種なので目利きができなければ簡単に騙されます。
騙されたらわかるものですか?
始めたばかりの頃はやはり知識もあまりなく、言われるままに商品を買ったことがあります。そして帰って調べてみたら、全く違う商品だったこともあります。
そういう失敗を繰り返して知識として蓄積されていきましたね。
騙されないために目利きの知識は一番大事ですね。
あと大事なのは語学力ですね。
やはり語学力も大事ですか?
買うだけなら電卓を持って行けばなんとか買えると思います。
でも、買い付けは人とのやりとりですから、価格交渉などの面で、語学力は非常に大事な要素だと思います。
コミュニケーションが取れれば、今後の繋がりとしてもディーラーに覚えてもらいやすいですし、プラスの要素になります。良いバイヤーになるなら語学力は大事ですね。
後は、意外と愛嬌とかって大事だと思います。
愛嬌が大事なんですね
日本でもそうだと思いますが、愛嬌の良い人には人が集まりますよね。
一緒にいて楽しいですし。バイイングも一緒で、愛嬌があれば現地の人も悪い気分にはならないんですよね。
僕は言葉が通じるので面倒なこともなく、結構気に入ってもらえたり良い縁があったりもしましたね。
海外へ買い付けに行く中で何かエピソードはありますか?
「海外に買い付けに行くのはかっこいい」というイメージを持っている方が多いと思いますが、実際は結構体力勝負な面もあります。
基本的に僕たちが扱うのは中古家具なので、ディーラーさんに商品を集めてもらってそれを倉庫で選びます。一箇所だけではなく、いろいろなところにいきます。フリーマーケットも回ったりします。
倉庫を回るので決して綺麗な場所じゃないですし、一点一点選んだ商品を車に詰めるなど、結構アナログな仕事なんです。
車に詰めるところから全て自分達でやるんですね
車に詰めるのは現地の人にお願いしてやってもらうこともあります。僕のやり方はいろいろな所を回って商品を集めているので、一個のコンテナを立てるとなると、その作業を全部自分で手配しなければなりません。
コンテナから商品を出す工程も自分で手配するので、結局全て自分が携わらなければいけないので結構大変ですよ。
商品数も多いですし全てをまとめるのは大変ですね
仮に400商品あったとして、コンテナにまとめる時に同じタイミングで倉庫に商品が来たら
収拾がつかなくなります。そうならないようにスケジューリングは本当に大事です。
ただ、文化の違いもあると思うんですけど、スケジュールがタイト過ぎると時間のズレが起きることもあります。
時間通りに商品が来ないということですか?
時間通り来ないことも多いですよ。
ヨーロッパの人は良い意味でゆったりとした性格なんですよ。
日本人はどちらかというと時間にきっちりとしているイメージだと思うんですけど。
時間に対する考え方って全然違いますね
常識が全く違うのである程度計算してスケジュールを作ることが重要ですね。
知らない相手のことを知ろうとすること、相手の行動パターンをよく知ること、そして文化に順応することが大事ですね。これらもおそらくバイヤーとしてのスキルだと思います。
今はもう全然平気ですか?
何年もやってきているので安定はしてます。
自分の中で、人それぞれの行動パターンができ上がっているので、こっちも考えて行動できるんです。
お互いにですけど、スーツを着て仕事をしている訳ではないですからね。
泥臭い人間同士が泥臭い仕事をしているんです。