兵庫県神戸市の家具文化の歴史は古く、慶應3年(1868年)の神戸港の開港に伴い家具製造の歴史がスタートしました。
居留地に暮らす外国人の人々の家具修理から始まった洋家具製造。
婚礼家具ブームやバブル期を経て、神戸の家具文化を支える「かぐびと」をご紹介します。
創業、始まり
創業72年、私で二代目になります。
先代である父親はもともと淡路島出身で、主に表装襖を取り扱う事業をしている家庭の次男として生まれました。
語学が出来たこともあり、神戸の北野町で「FURNITURE SHOP」と英語で看板を立てインテリア事業を始めたのがきっかけです。
当時はベッドや洋家具の修繕から始まり、北野町やジェームス山居住の住居人達が残した家具を腕の良い大工さんたちに手直ししてもらい事業が回り始めました。
その後、オリジナル家具の要望もあり製作するようになりました。
具体的な活動内容
別注家具製作から、室内装飾や空間デザイン設計施工まで幅広く展開しています。
オーダーメイドで神戸洋家具のリクエストを受けることもあれば、モダンな家具を扱うこともあります。個人住宅からマンション、店舗設計に至るまでインテリア全体を生業としています。
創業時はアールヌーヴォーとルイ15世様式をデザインポリシーにオリジナルの欧風家具を展開していましたが、現在は時代の流れと共に手造り家具をベースにクラシック&モダンテイストな室内空間をトータルコーディネートしています。
現在に至るまでの過程
以前、インテリアを学ぶために3年半ほどパリに行った経験があります。
当時は北欧しかインテリアの学校がなく、デンマークでは主に木製家具の製造しか学ぶことができませんでした。
インテリア全般を学ぶにはミラノかニューヨークという時代です。
現地のフランス人に言われた言葉で「フランスにはインテリアデザイナーはいない。デザイナーは私だ。」というフレーズが印象的で、生活の中にインテリアを楽しむ習慣が溶け込んでいる姿を見て、いつか日本でも…と原動力になりました。
帰国後はマンションメーカーとコラボしモデルルームの内装を担当し家具を販売するなど、新しいスタイルを確立しました。
提案資料は基本的にパースが中心です。
写真や図面では伝わらない実際の空間や風景を表現することで顧客の信頼を勝ち取ることができました。
家具だけではなく、お客様との打ち合わせを重ねトータルに創造空間(CREATION)を提案したことが喜ばれたポイントだと思います。
企業・工場・工房のこだわりや強み
やはりパースが一番の強みです。
案件、お部屋ごとに丁寧に書き上げるパースはうちの代名詞で、この手法が共感を得てお客様からの口コミやご紹介をいただくことがあります。
うちが手掛ける神戸洋家具は素材と色が特徴で、杢目の美しいサクラ材とブラックチョコレート色のクラシックな色合いがフジイ流です。
過去の思い出に残っている案件
兵庫県を代表する生田神社会館の改装に携わったことです。
最近だと今から59年前の先代が納めた家具のリペアを依頼されました。
そのお客様も先代からの引き継ぎで、新居に越してもこの家具を使いたいと要望を受けました。
「生まれたときから無垢材に囲まれてきた。」と話すお客様は家具の他にも趣味も多彩で、「やはり個性が光るアイテムで永く愛用できるものが好きだ。」と伝えてくれました。その言葉はとても嬉しく思い出に残っています。
神戸洋家具について
やっぱり神戸洋家具には復活して欲しい。
そのためには神戸市と連携を図り世間に神戸洋家具の存在を伝えていくことが重要だと思う。
神戸独自の世界観「インテリアは文化だ。」というメッセージを伝えていきたいです。
記事を読んでくださる読者の方に一言
「インテリアを楽しんで欲しい」その一言ですね。
家具の値段やブランドだけではなくて、デザインに込められたメッセージ、当時の歴史や背景、ものづくりそのものを知ることにも繋がる。
インテリアを最大限に楽しむには、センスや教養も必要なのかもしれません。
私も日々勉強中です。一緒にインテリアを学んでいきましょう。
家具産地の文化を支える企業や工房にフォーカスしたコラム。「かぐびと。」
第三回は兵庫県神戸市のクレアシオンフジイ様をご紹介しました。
次回もお楽しみに。
別注家具・室内装飾・空間デザイン設計施工
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