職人体験記

工房訪問!上田制作室『 FLANGE plywood(フランジプライウッド)』上田さんにインタビュー!『プライウッドの美しさ』

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「FLANGE plywood」工房訪問記

今回はFLANGE plywoodを訪問し、上田制作室の上田さんにいろいろと聞いてきました。FLANGE plywoodならではの雰囲気をご確認下さい!

 

工房はいつ頃から始められたのですか?

独立して始めたのは2006年1月からです。
最初は神奈川県大和市でスタートして、2012年に今の横浜の工房に引っ越しました。

 


 

独立される前は何をされていたんですか?

大学の建築学科を卒業して地元の木工所で制作をしていました。
その後、オーダー家具の会社で設計を学びました。

 

家具の設計を勉強されてから、今の工房始められたのですね。

家具を作るなら設計から制作までできるようになりたかったので、勉強しました。
大学で建築を学んでいるうちに建築より家具に興味が湧いてしまって。
家具は建築よりも人との距離が近いですよね。それが自分の中で心地いいのです。

 

 

上田さんの家具はデザインが特徴的ですよね。
デザインの根源を教えていただけますか?

学生の頃から好きだった『駿河意匠』というオーダー家具屋で設計をしていました。
そこでは無垢の家具も作っていましたが、ラワンベニヤやバッカー、パーティクルボードなどの下地材を使った家具も作っていて、衝撃を受けました。
そのときの経験が今につながっていると思います。

 

どうして合板で作ろうと思われたのですか?

独立したら無垢の家具を作りたいという憧れもありましたが、合板家具のカッコよさも知ってしまったので。
でも、世間的な合板のイメージは『無垢は高くて、合板は安い』ですよね?

 

僕も上田さんにお会いするまでは「安くて使いやすい」というイメージでした。

そうですよね。とにかく合板はそのイメージが強いと思います。
「良い家具は無垢、安い家具は合板」極端だけど、そういうイメージ。
ですから純粋に『合板の家具ってカッコいいよね』と言ってもらえるよう、日々家具を作っています。

 

こだわっている部分教えていただけますか?

家具デザインで一番こだわっているところは小口の断面です。
 


 

小口をデザインするのは新しい発想ですね!

どうしたら『合板ってカッコいい』と思ってもらえるかを考えていたら、このやり方になりました。一枚一枚違う樹種を重ねてプレス機で圧着し、断面にいろいろな樹種の表情を出しています。
手作りなので、オーダーに応じてその都度表情を変えて作ることができます。
シナベニヤやラワンベニヤなどの既製品の合板は量産品なので、手作りしている人はほとんどいません。

 

 

意識してこだわられているのはどこですか?

積層の組み合わせ方です。作品によって違いはありますが、例えばキャビネットの引き戸のところをみてください。(下記画像参照)。
 


 

キャビネット本体の構造に使用した合板の層の間に樽の無垢材を入れています。
本体の部分を削ってそこに引き戸をはめ込みますが、引き戸が擦るところを無垢材にすることで動きがスムーズになります。
見た目と機能性を意識して組み合わせを考えています。

 


 

すごいこだわりですね!言われないと絶対わかりませんでした。

わからないですよね。このように合板だからできる使い方、デザインの仕方を考えるのが楽しいのです。
 


 

 

どのような種類の家具のオーダーが多いですか?

箱物系が多いですね。部屋に置くときのサイズ感がとても重要なのです。
オーダー家具の特性だと思いますが、オーダーでサイズを決められるのは非常に需要があります。

 


 

ありがとうございます。次にオススメの作品を教えていただけますか?

こちらの『PLYBOX(プライボックス)』という商品です。
それぞれが最小限の収納になっていて、縦に置いたり横に置いたり、いろいろと置き方を変えて組み合わせができます。
置き方でいろいろな小口が見えるので、デザイン性も高いです。

 


 

これらのキャビネットもそれぞれ違った合板でできているのですか?

そうです。ですから小口部分も少しずつ違って見えます。
 


 


 

1つ1つの小口部分が違ったデザインなのですね。

もともと「いろいろな木材を1つに集めたい」という気持ちがあり、素材も、ウォールナットも樽みたいな素材も好きです。サイズ感もいろいろあるのが使いやすい。そういう思いを1個にぎゅっと凝縮したイメージです。
合板なら表と裏で素材を変えることも可能。小口も1つ1つ違います。
アイディアをどこまで詰め込めるかを考えていると楽しいのです。

 


 

 


 

細部へのこだわりが素敵ですね。オーダー時に使う木材の希望を伝えるのは大丈夫ですか?

大丈夫です。工房にお越しいただいて、お客様とお話ししながら決めていただきます。

 

プライボックスは、全てをデザインしてから作られたのですか?
それとも1つずつデザインして合わせていかれたのですか?

1つずつデザインして合わせていきました。
A4書類を入れる箱、A3図面をしまう箱、小物を入れる引き出しなど、最小限のBOX設計を私がします。どう並べるか、どう重ねるかは使う方に委ねています。
そうすると、1つ1つのサイズが違うので、ボコボコしたり隙間ができたりします。
その不揃い感や隙間を表現したくて。
背面と底面も同じ仕上げですから、前後をひっくり返してパーティションのように使うこともできますし、BOXの上下をひっくり返すと、扉の開き勝手の左右が変わります。

 


 

設計をしながら家具を作っていくというのは斬新ですね!

大きな家具を1つ買うのもいいのですが、一度置くとなかなか動かせませんし、その家ありきの家具になりますよね。
僕の家具は、トータルでは大きくても、分割しているので運びやすい。お引越しや部屋の模様替えもしやすいデザインで、お部屋の状況に合わせて使ってもらえる家具です。

 

完成形も綺麗で、その後の使い方も多様。
設計をされていた上田さんならではの発想ですね。

前の会社にいたとき、20年、30年間使用された家具のメンテナンスでお客さまのお宅によく行っていたのですが、どのお宅もずっと愛着を持って使ってくださっていました。
独立する時、「どうすれば僕の家具も長く愛着を持って使ってもらえるか」を自分なりに考えて、出した答えのひとつかもしれません。

 


 

本当に機能性とデザインが相まって、素敵な作品ですね。

ありがとうございます。そう言ってもらえると僕も嬉しいです。

 

次に工房を見せていただいてもいいでしょうか?

それでは作り方を簡単に紹介しますね。
こちらに材料となるベニヤを置いています。ここから選んでベニアを組み合わせていきます。
 

 

選んだ大きな木材をこの機械を使って必要寸法にざっくりと切ります。

 


 

丸鋸が後ろから出ています。

 

ある程度のサイズまで切って整えたら、のりを塗ってここでプレスします。

 


 

これだと大きなサイズの合板も作れそうですね。

そうですね。必要に応じて大きい合板も作れるようにしています。
板の一枚ずつにのりを塗って圧着させます。のりと言っても特殊なものではなく木工用(家具・建具用)の白ボンドです。

 

木工用のボンドでしっかりくっつくんですか?

大丈夫です。面と面の接着は非常に強力ですよ。
そして板を圧着していくと一枚の板になります。
端がバラバラなので、今度はこちらの機械を使って仕上げていきます。

 


 

そのあと木材の角などを磨いてフラットしていき、引戸の溝加工や裏板の加工などをしてから家具に組んでいく作業に入ります。
溝加工は、この昇降盤を使います。

 

 

刃が出ていますが、この刃を低くして一部分だけ切っていき、溝を加工します。

 


 


 

キャビネットやテーブルの脚はどのように組むのですか?

ドミノと呼ばれる工具で接合部の加工をします。
ドイツで開発された機械です。

 


 

こちらのドミノは今までの機械とどう違うのですか?

この機械は長穴を彫るための機械です。
長穴を加工するのは大変な作業なのですが、これは彫る位置を合わせるだけで加工ができます。
 


 


 

時間短縮になるので個人工房だと重宝されていると思います。
椅子などはホゾで組み、キャビネットやテーブルはドミノを使うなど作り分けています。

 


 

ありがとうございます。最後にコラムの読者に一言お願いします!

やっぱり1番は工房に来ていただいて、実際に触って合板で作る家具の良さを感じたり、美しさを見て知ってほしいです。
月に1度、どなたでもお越しいただける「オープン工房」の日を作っています。
ぜひ遊びに来てください。

 

上田さんありがとうございました!

 

(株)上田制作室
Ueda-seisakushitsu Inc.
224-0042 神奈川県横浜市都筑区大熊町219
219 Okuma-cho Tsuzuki-ku yokohama-shi Kanagawa 224-0042 JAPAN
TEL 045-620-5080
FAX 045-620-5690

 
 

Writer Profile


Takuto Suzuki
Inte-code.inc所属のインテリアコーディネーター。1991年静岡県生まれ。北欧インテリアショップの販売職を経て、inte-codeで空間のコーディネートを行う。その経験をもとにインテリアショップ体験記の運営、取材を担当。

 


Yoshiaki Ogiwara
インテリアショップ体験記のカメラマン、編集、取材を担当。
アパレル業界で10年働いた後、現在インテリアの勉強をしながら独立に向けて日々精進中。

 

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