インテリア選び(特に椅子・ソファ)で『レザー』と『ファブリック』を選ぶケースはとても多いと思います。
ショップの店員さんから『革のなめし』について説明をされた事はありますか?
革は奥が深く、ショップの店員さんの説明が難しい事もあるかもしれません。
そんな革について少し解説できればなと思います。
皮と革の違い
動物から剥いだ皮はそのままでは腐ってしまい、乾燥してバリバリに硬くなってしまいます。
これを防ぐために加工する技術のことを「鞣し(なめし)」といいます。
なめす前のものを「皮」、なめしたものを「革」と表現します。
皮をなめす方法は「タンニンなめし」と「クロームなめし」の大きく2種類に分かれます。
クロムなめしとは
クロムは塩基性硫酸クロムと呼ばれる化学薬品の事です。
クロム化合物を使用して、巨大なドラム型洗濯機をガラガラと回して加工をしていきます。
クロム化合物と反応させることで柔らかい仕上がりになるのが特徴。耐水性にも優れており、扱いやすい革製品です。
特徴としてはとてもお手入れが簡単!
クロムなめしの革は柔らかく伸縮性にも耐水性にも優れた仕上がりになるため、革製品としての加工がしやすいというメリットもあります。
しかしながら、使い込んでいく内に味が出てくる経年による革の色の変化はあまりしません。
クロム化合物の影響で白っぽい仕上がりになるため、着色しやすいのが特徴の一つであり、安価で大量生産できる工法でもあります。
たまに金属アレルギーの方はクロムなめしをした革を使用して肌が荒れるといったケースもあるようです。
価格帯としてもクロムなめしの方が安価に仕上げができる為、多くの家具はこのクロムなめし革を使用しているケースが多いのが現状です。
タンニンなめし
植物性のタンニンを使用しておこなうのがタンニンなめし。
古くからある伝統的な方法です。水溶性の化合物であるタンニンには、皮に含まれる動物性たんぱく質と結合し収縮させる働きがあります。
工程に手間がかかり期間も長くかかる工法ですが、丈夫で固めの仕上がりになるのが特徴。
経年による色の変化を楽しみやすいのもタンニンなめしの製品です。使えば使うだけどんどんと色の変化や艶が出てきて”家具を育てる”感覚で使用する事が可能です。
しかし、お手入れは必須。
革に落ちた水滴は跡がついてしまうのでご注意ください。
また、お手入れをしないと油分がが不足してしまい皮がバリバリに固まってしまいます。
タンニンでなめした革を使用している家具ももちろんございますが、かなりの高級家具になります。
それだけ職人が丁寧に長時間にわたり皮を仕上げていくので高価でとても風合いのある家具になっていきます。
シボって何?
革製品選びをしていると”シボ”という単語が出てくると思います。
このシボとは”皮膚のシワ”の事です。
人間もよく見るとこのシボがあるのです。
動物の種類や採取をしゅる箇所によってこのシボは変化をします。
さて、このシボですが日本人は事シボのムラをとっても嫌がります。
そのため、日本のソファは『押し型』という手法でシボを人工的に作ってしまうのです。
写真の通り同じシボは存在しないのですが、一つのソファを作る時に継ぎ目でシボの大きさが変わってしまいます。
これを嫌がる日本人のために一度、革をツルツルに加工し、その後プレスで同じシボを整形していきます。
この一手間によって統一をされたシボのソファが完成をするという流れです。
しかし、その分革を薄くしプレスをしているので本来の皮の厚みや質感を損なう可能性があります。
これはとってももったいない事をしているので、是非シボが違うソファも検討してみてはいかがでしょうか?
もちろん個体差があり、店舗で見た質感と多少の異なりが発生をする可能性はもちろんありますが、動物の革本来の味わいがあるため私としてはとてもおすすめです。
さていかがでしたでしょうか?
今回はなめしとシボについてまとめさせていただきましたが、まだまだ奥が深い革。
一概に革と言っても様々な革の特製がありますので是非色々試して触っていただければと思います。